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読書日記(49)「ばらばら死体の夜」桜庭一樹 〜ふわふわした人生を送るのもあると思います!

      2016/10/09

こんにちは。昨日からテンテコマイのケンタ(@kentasakako)です。

数年前の話ですが、ある女性と話していた時に痛烈に思い出した小説があります。

それがこの「ばらばら死体の夜」なのです。

 

 

僕も「高等遊民」になりたかった。

 

この小説は、「吉野解」という文学者と「白井沙漠」という女性とで繰り広げられるある種のミステリー小説です。吉野は大学教授としてそこそこの成功を収めるのですが、その段階に至るまでの彼の思想は少し変わっています。

以下は妻の舅との会話です。

 

「あのころ、俺の究極の夢は高等遊民になることでしたからね」

「高等遊民?何だ、そりゃ」

「たとえば、大学で出世して、偉い教授になるとか、有名な本を訳して世間に名を馳せるとか、使い切れないほどの富を所有するとかじゃなくて。俺はずっと貧しかったから。金の心配をせずに、好きな本を読みふけり。あくせく働かずに、本当にやりたい仕事だけを選んで。つまり、ひたすら趣味に耽溺したいと……。それこそが人間の一番の贅沢だとね。」

つまり、吉野はお金に縛られずに好きなことをやって生活をしていきたいと所望するのです。

「高等遊民」という概念。

僕もできればこの遊民になりたいとここ10年くらい思っているのですが、現実は遠く及ばず……。

 

お金は暴力性がある。だから金持ちは寄付をするのだ。

 

吉野は、お金の使い方を知らない上にプライドも高いため、借金地獄に陥ってしまうことになります。

そんな吉野に舅はこう切り返します。

 

「解くん。本来ね、金ってものには暴力性があるんだよ

「え、暴力性?お金に?そんなことないでしょう。だって人を豊かに、幸せにしてくれるものじゃないですか。」

「いやいや。金はね、なければ人を干上がらせるし、あればあったで嫉妬や恨みを買ってしまう、ひどくやっかいなものだよ。」

「あぁ、それはわかりますけど。お義父さん」

「うむ。だからね、たくさん持ってるってだけで、持たざる人たちにとっての、ある種の暴力となるのだ。恨まれないためには、どんどん使うことだ。欧米の資産家たちが、目に見えるかたちで多額の寄付による社会貢献をするのは、なにも心優しいからではないよ。あれは世の中の共通敵にならないための高度な自衛手段なのだ。

 

もうね、ぐうの音もでないほどの真実ですよね。
身も蓋もないファクトですよね。

僕は小説だからこそ、このようなリアリティを持った文章が身にしみるのだと思います。

 

なぜ僕はある女性と話していた時にこの小説を思い出したのか?

 

数年前、僕はある女性と話をしていて、ふと「あ、この人、白井沙漠に似てるな。」と思ったのです。

どこが似ていたのか?

この小説を読めば分かるのですが、沙漠の持つ「ふんわりとした」人間性なのです。これは悪い意味でもいい意味でもありません。

何だろう?完全に流れに身を任せているような空気かな。

それを象徴するように、沙漠は、自分自身のことをこう称しています。

 

桃はすごく立派なのにたったの500円で2つも買えた。

桃は、女そのものみたいだった。お嬢様学校出で、育ちがいいはずなのに、いったいなにごとかあったのか、いまや正規のJAを通さず軽トラの荷台で売られている。

 

自分で人生を設計したり、人生を切り開いていく人もいれば、ふんわりと流れる人もいるんだなぁ。

と思ったら……

僕と話していた、その彼女は「しっかりと自分を持っていた人」でした。

ちゃんちゃん。

 

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 - 読書日記

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Comment

  1. 白羚 より:

    高等遊民の作法は現代なかなか重要と思います。
    お金は概してトラブルの原因ですから。

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