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読書日記(50)「ワタクシハ」羽田圭介 〜自分の軸を持つこと。でも、就活ではそれを放棄すること。

      2016/10/09

おはようございます。
風邪をひいてダウンしているケンタ(@kentasakako)です。

最近、大学生と少し話す機会がありました。
そこで、「就職活動」という懐かしい響きの言葉を聞いた瞬間、思い出したのが「ワタクシハ」という小説だったのです。

 

「ワタクシハ」

 

僕たちは知らないうちに成功しているのかもしれない。

 

主人公の山本太郎は、プロギタリストとしてメジャーデビューを果たすも、普通の大学生として就職活動に励行することになります。しかし、現実は厳しく、なかなか就職が決まらない。

そんなとき、このようなシーンがありました。(140ページ)

 

「林さんみたいに、成功からしか学べないなんていう境遇の人間が、全国の同世代たちの中でどれほどいるか……」

「でも山本くんだって、自覚していないだけで、成功を収めているかもよ。ギター以外で」

「自覚していない成功?」

失敗ばかりに目が向くんだろうけど、自分では普通だと思っていることでも、他の人から見れば羨ましがられるようなことって沢山あると思うよ。どんな人にでも」

無自覚になっている成功。それがなんなのか、すぐにはわからない。
近すぎるものは見えないのかもしれなかった。

 

僕が新卒で就職活動したのは、就職氷河期であった2000年です。この時は、たとえ有名大学であろうとかなりの苦戦を強いられる時代でした。

もちろんのことですが、失敗の連続なのです。

しかも、僕は持ち前の「社交性のなさ」を発揮して面接ではことごとく失敗を続けていました。

そんな僕ですが、何とか一部上場企業に潜り込むことが出来ました。

しかし、これこそが大事なことですが、就活はゴールではありません。
「就職活動は社会のスタートラインに過ぎない」ことを僕は知らなかったのです。

 

 

就職活動で「優秀な人材」なんて見極められるはずないです。

 

少し後半のパートになってしまうので、ネタバレを覚悟できる方は読み進めてください。

太郎は、結果的には3社から内定をもらいます。しかし、それは太郎の実力をしっかり評価した結果とは言いがたかったのです。

それを太郎はこのように振り返ります。

 

身も蓋もなかった。受ける側だけではない。選ぶ側も曖昧な基準で動いている就活戦線は、ただただ混沌としていた。人々は、神の見えざる手で適材適所へ配されるわけではなかった。
たとえそこが自分の望まぬ場所であったとしても、身の丈にあった場所へ辿り着いたのだと納得できれば、人は安心する。

 

会社は必ずしも「学生」の適性を見られるとは限りません。

たかだか履歴書やエントリーシートなどのプロフィール、そして30分くらいの面接を数回、これらを経ても結局は企業サイドも学生サイドも狸の皮をかぶっているだけだから、「混沌と」しています。

そして、太郎の回想はこのように続きます。

 

太郎へ内定をくれた3社の選考過程において、通底するような勝敗 ー 軸はどこにもなかった。決して単純ではない世の中で起こるすべての問題を、ただ一つの軸で解決できるわけがなかった。

太郎は確信していた。軸を持つとは、他の可能性を探ったり思考することをある段階で放棄することにほかならない。思考を放棄することは簡単だ。捉えどころのない、常に変化するあらゆる局面で、その度に思考することが大切であった。

この最後の部分は非常に重要だと思っています。
そして、この作品の醍醐味はここにあると思うのです。

就職活動を経て、「軸を持つ」ことと「思考を放棄する」こととはどういう意味か?

これから就職活動に参戦する皆さんも一度考えてみてくださいね。

 

自分の軸を持つことは大事。
でも、一つの軸で通用するほど社会は単純じゃないのです。

 

(羽田さんが好きならこちらもいかが?)→芥川賞の羽田圭介さんの「メタモルフォシス」が壮絶すぎる件 

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