読書日記(54)「放っておいても明日は来るー就職しないで生きる9つの方法」高野秀行 〜勝ち組とか負け組って一体なんだろう?
2016/10/09
おはようございます。ケンタ(@kentasakako)です。
今日は、最近ちょっと話題になっている「格差社会」という現象について考察してみたいと思います。
そこで、今回は「放っておいても明日は来る」という本を取り上げてみました。
タイトルが素敵ですね。
「勝ち組」「負け組」って一体なんだ?
最近、ピケティ先生による著書「21世紀の資本」等が人気になっています。
そこには先進国において「格差社会」がどんどん広がるというコンテキストがあるようです。しかし、僕はこの「格差」というニュアンスがよくわかりません。
というのも、まだ僕が本当の意味での貧困を味わっていないのかもしれません。
ただ、僕は多少のことで「格差」「負け組」「勝ち組」と声を荒げて叫びまくるのも「なんか違うんじゃない?」と思ってしまうのです。
そこで、本書の筆者である高野さんはこの件について以下のように述べています。
日本人が最近「勝ち組」「負け組」と繰り返すのは、格差社会のせいではなく、勝ち負けに異様にこだわる気質のせいではないか。他人と比べてどうかが常に問題なわけだ。実際、タイは日本と比較にならない格差社会だがそんな分け方はしない。自分が楽しければそれでいいのだから、人がどうでも関係ないのだ。
日本人がそれを真似すべきとは思わないが、そういう価値観もあると思えば、今、多少負けていてもあまり気にならなくなるかもしれない。
もう極論すると、「格差」なんてどうでもいいのです。
ミクロ的な問題は「自分が楽しい人生を送っているかどうか」なのですから。
マクロ的な問題を考えるのはその次のステージだと思うのです。
生き方を考え直すのも一つの戦略かも。
では、自分が楽しい人生を歩くためにはどうすればいいか?
そのヒントについて、高野さんはある提案をしています。
日本人離れした、ある女性のキャリアについてこう述べているのですが、これが非常に参考になるのです。
一つ一つが脈略がなく、直接次につながっていない。キャリアアップを当然とする現在の風潮とは真逆だ。上を目指す代わり、横に動く。今の場所がつまらなくなったら別の場所へ、今の生活に飽きたら別の生活へと動く。
上昇せずに横移動することの最高に素晴らしいところは絶対に「落ちない」ということだ。キャリアアップを目指すと、順調に上がっているうちはいいが、上がる速度が鈍ったり、足踏みしたり、あるいは下に落ちたとき、どうにもならないショックを受ける。
つまり、「もう上昇志向がダメだったら横移動する人生もあるんじゃない?」と提案しているのです。
横移動?
つまり、上に上がろうともがくのではなく、今までとは違うライフスタイルを試してみるのです。
いろいろな生き方があるはずだから、僕も遅まきながら今からでも生き方を模索してみようかと思っています。始めるに遅すぎることはないはず、です。
「絶対無理!」の7、8割はなんとかなる!!
最後に、インドで一文無しになった時の高野さんの言葉でしめくくりたいと思います。
これこそが本書の要諦と思うのです。
そこでなんか僕の頭のチャンネルが変わったんですね。
ていうのは貴重品は命だと言われていたわけでしょう。それさえあれば生きていけるというものがないわけですよ。取られたら死ぬと思っていたわけだけど、死んでないんですよ。当たり前ですよね、パスポートも金も航空券も人間が生きていくうえで必要じゃないから。食べ物とかそういうのは必要だけど。生命活動を維持するのには、それら貴重品は必要じゃないわけですよ。だからなくなっても死なないし、そうやって助けてくれる人もいる。そのときに「意外と生きていけるんだな」って思ったんですよね。
僕たちが盲信している貨幣経済も実は虚妄なのかもしれません。何を信じるかは人それぞれですが、僕はもっと「人」を信じないといけないのではと思っています。今までの僕は「お金」にとらわれ過ぎだったのです。
そして、たとえ、人に裏切られたり、失敗したとしても……
「明日は来る」から、放っておきましょ。
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