ケンタの日本全国スタバ旅 (Starbucks trip)

日本のコンセプトストアを制覇した「スタバ旅行家」のケンタが47都道府県のスタバを巡りまくる!

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育児がいかに壮絶か!〜「マザーズ」金原ひとみ

      2016/10/09

育児は大変です。

実際にぼくが育児を通じて経験したことがこの「マザーズ」に凝縮されていると感じました。

私は、読書後、感動した場面をノートに記録しています。
そして、この「マザーズ」を読み終えた後に書き写したページ数が8ページにも及んだのです。それくらい私の心に響きました。とにかく中盤からの追い上げがすごいのです。

あらすじとしては、3人の母親がそのそれぞれの育児をめぐって死闘を繰り広げるという、今でいうところの「マウンティング」を描いています。さすがは芥川賞受賞者ですね。母親目線での表現が巧すぎます。

 

●育児は「地獄」だ……

この小説でぼくが注目したキャラクターは「涼子」でした。
「涼子」を通じて、育児の凄まじさを「これほどか」という位の勢いで描かれているのです。

たとえば、「虐待する一歩手前のシーン」を挙げてみます。

 

腰元に一弥の熱を感じながら、吠えるように全身で叫び何度も何度も壁を殴りつけた。ほとばしるように涙が溢れ、顔が真っ赤になって髪の毛が逆立ちしそうなほど体中から強烈なエネルギーが放出されているのがわかる。

びくびくと体が震え、私は抱きつく一弥に厭わず顔面を布団に押し付けた。お迎えにいき、一弥の傷跡をみるまではあんなに楽しい気持ちでいたのに。久しぶりに息抜きをして、ユカと愚痴を零し合ってすっきりして、しばらくは余裕が出来るだろうと思っていたのに。お迎えに向かいながら早く一弥に会いたいと心を踊らせていたのに。夕飯だって一弥は珍しくたくさん食べてくれたのに。全てがうまくいっていたのに、全てが台無しになってしまった。涙と涎がシーツを濡らし、痛む喉と右手を庇うようにしてしてうずくまった。一弥は私にしがみつきわんわんと泣いている。地獄だ。ここは地獄だ。私は次第に泣き声をおとし、ひーと何度もシーツに向かって声をおとした。

(122ページ)

 

「地獄」……。

ぼくは父親として育児に参加していますが、正直父親が出来ることなんて限られています。母親からしたら育児は「楽しい」どころではありません。3歳になる位までは辛いことばかりです。

そして、この小説を読んだからこそ、ぼくは静かに懺悔するのです。

「育児という地獄を体験していなくてすみません。」

 

●虐待したママを子供は許してくれるのか?

そして、ついに虐待をしてしまった我が子(一弥)を施設に預けて、涼子が一弥を迎えにいくシーンです。

 

私は喜びに頬が緩むのを抑えられない。広間の一角をしめる乳幼児スペースに一弥はいた。

マットの上でブロック遊びをしていた一弥は、一弥と声をかけた浩太を見上げ、次にその後ろにいた私を見つけた。

「ママ、ママ、パパッ」

一弥はそういいながら立ち上がり、身体を揺らすようにして喜び、そのまま溶けてしまいそうなほど、嬉しそうに顔を緩めた。

「ママ、ママ」駆け寄ってきた一弥を抱き上げ、何してたの?と言いながら、一弥の頬を包むように手を当てた。

(430ページ)

ぼくはこの場面に感動しました。

なぜなら、一弥が最初に呼んだのが「ママ」だったからなのです。

「ママ、ママ、パパッ」

この作品を読みあげると、この7文字の持つ意味が分かると思います。

このシーンを読むだけで私は半泣きになってしまうのです。

 

(関連記事)災害は人生を変える機会なんですよね。〜「持たざる者」金原ひとみ 

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