読書日記(11)「バイアウト」真山仁
著者の真山仁さんは「ハゲタカ」や「ベイジン」などのM&A関連の小説が多いです。この小説は「ハゲタカ」の続編のようなイメージで読むと分かりやすいと思います。
さて、この小説のあらすじを簡単に説明すると……
「外資系ファンドが日本企業を買収する」というストーリーです。
(バカみたいな説明ですみません!)
企業買収に絡み、国際的企業がいろいろな展開を繰り広げるのです。その中でも、欧米と日本のビジネス意識に大きな違いがあると思いました。
以下はそれを端的に述べた記述です。
その一方で、勝ち組と言われた月華もシャインも自らの体制をより強化するために挑んだ闘いに敗れた。舞台が欧米であれば、彼らが敗れる事はありえなかったはずだ。
だが、日本では優良企業であっても何一つ思い通りにならない。
企業価値を表す様々な数値をいくら誇っても、自己資産を蓄え、無借金経営を続け、さらに社会的に高い評判を得ていても、それが勝利の方程式とはならない。
この国(日本)では劇的な変化を警戒し、突出したものを抑え込む社会装置があるようだ。勝つために手段を選ばないものは必ずこの抑制装置によって制圧され、伝統に弓引くものは伝統に復讐される。
一体この国とは何なのだろうか。我々は何を求めているのだろうか?
また、幸田真音さんも、同じタイトル(「バイアウト」)で作品を出していますが、両者に通ずるところは、
●日本企業の異常さ
なのです。
ここで言う「異常」というのは、真山さんが表現しているように「出る杭は打たれる」ということですね。
ほとんどのサラリーマンってちょっとでも個性を見せようものなら最後。自分が「変わりたい」と思っても、周囲の人や上司はガンガンに突き戻してくるのです。「outstanding position」を許してくれないのです。
上司はこのように絶叫するのです。
「私たちはおとなしくサラリーマンを全うしているというのに、お前だけ変わるなんて許さないぞ」
そりゃ、日本人は横並びになっちゃうわ。
そりゃ、日本の起業率が全く上昇しないわ。
いいじゃん。みんなドンドン変わろうよ。ね。
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