まだ「ホームレスになりたくない」とか言ってるの?そんな人は真っ先に「砂の王国」(荻原浩)を読みましょう。
2016/10/10
そもそもホームレスはそんなに悲惨なことなのか?
このブログを始めてから、ホームをレスする方と会う機会が何度かありました。
一人は「ホームレス芸人小谷さん」。
なぜかぼく貧乏なのにお寿司をおごってしまいました。一生の不覚です。
ホームレス芸人小谷さんにゴハンをおごってみた! | ケンタの日本全国スタバ旅(Starbucks trip)
もう一人は「坂爪圭吾さん」。
もうぶっちゃけ、ホームをレスするとかいう次元ではないですね。
どんな自己啓発よりも刺さる坂爪圭吾さんから学んだ7つのこと | ケンタの日本全国スタバ旅(Starbucks trip)
まだホームをレスしている方とは二人しか会っていないのですが、それほど悲壮感は感じませんでした。というか、メンタルがスゴすぎます。
なぜだろう?
そこでふとぼくはある本を思い出しました。
萩原浩の「砂の王国」です。
本当に路上で寝てみると人生観は変わるのだろうか?
この小説、まずはこのような書き出しで始まります。
路上に寝て街を眺めれば、人生観は確実に変わる。
クリスマスに近い週末の繁華街で私はそれを知った。
ぼくは、これが本当かどうかを知りたくて小谷さんとか坂爪さんに聞いてみたのですが、それほど明瞭なターニングポイントはなかったみたいです。
坂爪さんなんかはもう外で寝ることをアートの域まで達してますからね。
でも、ぼくは知りたい。
本当に路上で寝ると人生が変わるのか、を。
ぼくはまだ路上では寝たことがないのですが、学生のとき上野公園で寝たことがあります。当然ながら、寒くて一睡も出来ませんでした。
ホームレスというのは知恵と経験がなければサバイブできません。
ぼくにはまだその知恵が全くなかったのです。
☆☆☆☆☆
更に、ホームレスから宗教の教祖に成り上がった大城教祖が次のような言葉を放ちます。
「地面に座りこんで、地べたから街や人を眺めているとね、考え方が変わるんだ。すべてが変わるとまでは言わないけれど、心の中では確実に、変化が起こる。」
〜略〜
「何もかも捨てて、路上生活を始めたのに、何かを得たような気がした。力を失ったはずのこの身に、力がみなぎるのを感じた。誰よりも貧しくなった自分が、誰とも比べることなく豊かになったと思った。人と街がどんなに慌てふためいて、喧騒に満ちていても、自分一人は静かで平和になれた。」
これが真実だとしたら、自己改革をしたい人はまず真っ先にホームレスになるべきですよね。確実に変わりたいのであれば。
みんな固執しすぎなんですよ。金とか所有物とか既得権益に。
というぼくもまだホームレスにはなれない若造なんですけどね。
さあ、ぼくも君も底辺から逆襲をしてやろう。
ホームレスになると人生は確実に変わる。
でも、ホームレスにならなくても人生を変えられる。
その類いの自己啓発の本は本屋に行けば山ほどあるので、お手軽に人生を変えていけばいいと思います。ただ、ぼくはやはり底辺の近くまで捨てられた社会に対して逆襲を仕掛けたいと思っているのです。
この本で、まさにぼくを代弁してくれている部分があります。
他人から廃棄弁当を分けてもらっている身でありながら、私は思っていた。
組織で働くのはもう嫌だ、と。椅子とりゲームには戻りたくない。ホームレスの境遇から脱出し、職を得たとしても、金を貯めてなにがしかのビジネスを始めようと考えている。それはそれで新しい椅子取りゲームの始まりなのだろうが、人に命じられて目隠しをしたままゲームに参加するのと、自分の意志で自分の椅子を獲得するのとでは、ずいぶん違うはずだ。
ぼくは一度、椅子取りゲームから挫折しました。
「サラリーマン」という名の既得権益の椅子。
そして、ぼくはこれから新しい椅子を自分で作っていこうと思うのです。
「まだまだこれからだ。」
そう。これからだ。自分を路上に捨てた世間には、まだまだ貸しがある。
ホームレスには、宗教の教祖になれる要素がふんだんにある。
ぼくはそれを坂爪圭吾さんと話しながら、こう思ったことがあります。
「あ、坂爪さんって『砂の王国』の大城教祖に重複するところがあるな。」
ホームレスが悲惨?
そう思っている方は、本当にそうなのかこの小説を読んで確かめてみてはいかがでしょうか?
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