5セント最強説!損したくない人は全力で5セント玉を集めるべし〜「リスク・テイカーズ」(川上穣著)
2016/10/10
先日、「リスク・テイカーズ ―相場を動かす8人のカリスマ投資家」という本を読んでいたら、「え!」とビックリしたことがあるのでそれを記したいと思います。
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●カイル・バスのユニークな投資術とは?
この本では8人の著名投資家の投資スタイルを紹介しています。
その中で「カイル・バス」という投資家がぼくの目を惹きました。
カイル氏は、米住宅バブル崩壊後、欧州債務危機の到来を的中させ、ベッジファンド業界で一躍有名になった投資家です。
彼の「実物投資」は目から鱗な投資方法でした。
その投資術とは……
「実体がある」という点でもうひとつ興味深いのは、 バスが米国の5セント玉を大量に保有しているということである。その数、実に2000万枚、金額にして100万ドルに達する。
なぜ5セント玉なのか。バスによれば、5セント玉に含有されるニッケルと銅の実体価値がわずかに5セントの通貨価値を上回るのだそうだ。
なんと彼は1億円に値する金額を5セント玉で所有しているのです!
●5セント玉が最強な訳とは?
5セント玉はお金として使うと5セントしか価値がありません。
しかし、お金ではなく「銅」と「ニッケル」として見てみると、5セント以上の価値があるのです。つまり原価が5セント以上あるのです。
また、このような「5セント投資法」の凄まじいところは、デフレになろうがインフレになろうが損をしないことにあります。
本書ではこのような説明があります。
つまり、デフレで物価が下落すればそれだけで保有する5セント玉の相対的な通貨価値は上がる。反対にインフレが起きた場合は、5セント玉に含まれる銅とニッケルの実物価値がものをいう。インフレで通貨の価値は下がるが、5セントの本質的な金属の価値は通貨の額面価格を上回っている。通貨でありながら、金のように実物価値が高いという点で、インフレ時のリスク回避にもなるという理屈だ。
インフレ局面になってもデフレ局面になってもリスクヘッジをしているので、一見損をしていない状態になっています。
強いて言えば、5セント玉に交換するための労力や時間がかかることと、保存コストが発生することがデメリットとして挙げられるでしょう。
そんなデメリットをさしおいても、この「5セント玉投資」は結構万能ではないか、と思うのです。
金投資するよりも、通貨と貴金属の両方を兼ね揃えている「5セント」に交換することのほうがリスクは低いのかもしれません。
●でも当然ですが全財産を5セント玉に交換してはいけません。
ぼくはかつてFXや株式などの投資で失敗して辛酸をなめてきました。
とくに、「ほぼ全財産没収事件」では、その名の通り「ほぼ全財産」をとある投資で失くしてしまいました。
参考):僕の人生を1245円で買って下さい!「第5巻・最終巻」〜「ほぼ全財産没収事件」となる「8.2事件」とは?
この事件で学んだことは「ポートフォリオを組みなさい」というごくシンプルな教訓です。
……でも今はポートフォリオを組むだけの資金がないですけどね。
ということで、投資で損したくない人はポートフォリオを組んだ上で5セント玉を集めてみてはいかがでしょうか?
かなりディフェンシブ(守り)な投資で面白みはありませんけどね。
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