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虐待経験がスゴすぎて読み進むのが怖い本〜「土の中の子供」(中村文則著)

      2016/10/10

ちょっと前に「アメトーーク」という番組で「読書芸人」を取り上げていました。そこで、中村文則さんの「教団X」が紹介されてかなり売れているようですね。

そこでぼくは中村文則さんの芥川賞受賞作である「土の中の子供」を読んでみました。もうね、泣けます、これ。

 

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あらすじからして壮絶っぽい。

ぼくは初めて中村文則さんの小説を読んだのですが、ストーリーがそれほど凝ってなくて読みやすいですね。表現がストレートだと思いました。

この「土の中の子供」という小説は一言でいえば「虐待体験からの再起」です。そのあらすじを裏表紙から抜粋してみましょう。

 

27歳のタクシードライバーをいまも脅かすのは、親に捨てられ、孤児として日常的に虐待された日々の記憶。理不尽に引きこまれる被虐体験に、生との健全な距離を見失った「私」は、自身の半生を呪い持てあましながらも、暴力に乱された精神の暗部にかすかな生の核心をさぐる。人間の業と希望を正面から追求し、賞賛を集めた新世代の芥川賞受賞作。

もう、このあらすじからしてヘビーですね。
期待に反することなく、主人公の「私」の壮絶な被虐体験が胸に突き刺さります。

 

「空腹」すぎて「激痛」が起こるほどの虐待。

ぼくは被虐経験がありませんが、そんなぼくでも本書を読み進めるのが辛くなってきました。もう、主人公に感情移入することを越えて、「お願いだからもう辞めてあげて」と絶叫したい気分を抑えるので必死。

例えば、次のような描写があります。
これは遠い親戚に預けられて虐げられる日々を綴ったものです。

 

暴力は次第に少なくなり、やがて放置されるようになった。
飯を食い、糞をする生き物である私を、彼らは疎み始めていた。
極度の空腹に激しい腹痛が伴うことと、汗が出ず、上昇し続ける異常な熱に身体が覆われるというのを、初めて知った。
体力の低下は、意識の低下を招いた。何かを考えること自体にエネルギーがいることも初めて知ることになった。

 

被虐した経験がないと知り得ないことがあります。
たとえば、上記のなかで「極度の空腹に激しい腹痛が伴う」という箇所は体験しないと分からないですよね。そして、異様に生々しいです。

しかし、さらにぼくが目をみはったのは実の親からの虐待シーンです。

その内容をここで引用するのは控えますが、とにかくこの本のタイトルを見ればなんとなく分かるのではないでしょうか。

……「土の中の子供」。

 

「働いている限り生きていくことができる。」

以前、金原ひとみ著「マザーズ」を読んだとき、虐待する側について考えました。一方、この「土の中の子供」では虐待される側に焦点が当てられています。

参考)読書日記(9)「マザーズ」 金原ひとみ 〜育児がいかに壮絶か、そして。 

そして、虐待された過去があっても、日々を淡々と生きるしかないのです。

ぼくは以下の部分を読んでなんとなく報われた気がします。
これは、虐待した親を回顧するシーンです。

だがそれも、月日が流れ私が成長し、親からの連絡のない時間が過ぎていく過程で、私の中で褪せた。そして、もう二十年を越えた。

今となっては、もうどうでもよかった。今の私は働いている限り、生きていくことができる。不幸ではないし、不利な立場でもない。あの家のことを考えるなら、二十七まで生きたというだけでも、大したことではないかとも思う。

 

壮絶な過去と訣別して、今を生きるということ。
ぼくは虐待された経験はありませんが、この「私」のように「働いている限り、生きていくことができる」と思いながら、強く生きていきたい。

過去は過去。

(「教団X」もどうですか?)「教団X」は単なる駄作なのか?いや、「神の領域」への挑戦状かもしれない。

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