ギャンブルに人生を賭けたい人はまずこの小説を!〜「波の音が消えるまで」沢木耕太郎
2016/10/10
沢木耕太郎さんの小説「波の音が消えるまで」を読み終えました。
この本は上下巻合わせて800ページを越える大作ですが、読み応えがありましたよ。
それにしても、主人公の伊津航平がどんどんバカラにのめり込む様がすごいんです。
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●まずはあらすじを。
この小説のあらすじをザックリと述べます。
ある青年(伊津航平)が高校卒業と同時にアルバイトでお金を貯め、サーフィンの聖地オアフへ向かいます。そしてサーファーから写真家の助手になりましたが、もう一度サーフィンに挑戦すべく今度はバリ島へ飛びます。
バリ島から日本に帰国する途中、マカオに滞在することになりました。
そこで偶然カジノに寄ったときにバカラを覚えることになり、そこから新しい物語が始まるのです。
ぼくはバカラのルールを知らなかったのですが、この小説でバカラの基本的なルールを知ることができました。客観的に見るとバカラにはまると怖いですね。
なにせ無一文になるまでバカラに搾取されるのですから。
●主人公がどんどんバカラにはまっていく様がリアル。
最初、バカラのなんたるかを知らなかった主人公ですが、バカラの魅力にとりつかれて、次のような心境に陥ります。
あともう少しマカオに居たかった。そして、あともう少しバカラをやってみたかった。すでに9万円近く負けていたが、その負けを取り戻したいわけではなかった。バリ島で使うつもりだった金が80万円ほど残っている。これをすべて使い果たしてもいいのだ。
もはや金銭感覚が麻痺しているように思われますが、実はこの小説を読み進めていくと、こんな状態はまだマシだと気付きます。
このシーンはこう続きます。
丁半博打なら勝つも負けるも偶然にすぎないはずだ。しかし、バカラにはそれ以外の何かがあるような気がする。それがどんなものかはよくわからないが、単なる丁半博打とは違う何かがあるように思えるのだ。
このような一種の「刷り込み」がされることがギャンブルの怖さなのかもしれません。
ぼくも先日、株式投資で大損をこきましたが、この心境に近いんですよね。
「株式投資は単なる丁半博打とは違う何かがあるように思えるのだ。」
ぼくが言えば単なる言い訳にすぎない……。
(関連記事)株式投資で大損したときに持つべきマインドとは?
●「波の音が消えるまで」は何を意味するのか?
航平はマカオのカジノで劉さんという謎のおじいさんと出くわします。劉さんはバカラの必勝法を追求しているのですが、彼が亡くなったとき一冊のノートが航平に渡されました。
そこにはこの一言が。
波の音が消えるまで
その言葉を解明すべく、航平も「バカラの必勝法」を探すためにひたすらバカラに打ち込みます。
そして、ついにその言葉の意味が分かるときが来ます。
この言葉の意味が分かったとき、ぼくは身震いしました。
果たして、バカラには必勝法があるのでしょうか?
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