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読書日記(25)「パイロットフィッシュ」大崎善生 

   

 

この「パイロットフィッシュ」という小説は以下の出だしでスタートします。

人は一度巡り合った人と二度と別れることはできない。なぜなら人間には記憶という能力があり、そして否が応にも記憶とともに現在を生きているからである。

●「パイロットフィッシュ」を再読してみる。

先日、大崎善生さんの近著「エンプティスター」を読んでいると、妙な錯覚に陥りました。

「あれ?この作品以前にも読んだことがあるかも」

何故なら、登場人物や設定になじみがあったからです。

そして読み進めているうちに、「あ、この作品は何かの続編だわ!」と思い、本棚から大崎さんの本をかき集めて確認したところ、「パイロットフィッシュ」の続編であることが判明しました。

そこで僕は、「エンプティスター」を読み進めるのを止めて、もう一度「パイロットフィッシュ」を読み直したのでした。

 

●僕の最も好きな小説家は「大崎善生」さんです。

僕は大崎善生さんの作品が大好きなのですが、その最大の理由は、大崎さんの醍醐味にあると思っています。

大崎さんは、徹底的に「孤独」や「虚無感」を描写しているのです。どの作品を読んでも、「人間の持ちうる最大限の孤独と悲哀」について手を変え品を変え表現していると感じてしまうのです。

さらに、大崎作品に出てくる登場人物が憎めないんですよね。例えば、「パイロットフィッシュ」の場合、主人公の山崎さんがとても優柔不断でふわふわした優しさを持ち、人生におけるいろいろな事に「方向音痴」なのです。そして、「方向音痴」だからこそ展開されるストーリーがこの「パイロットフィッシュ」なのです。

 

●「ただで出すもんやからこそ大切なんや。」

僕は小説を通じていろいろな至言を目にしてきました。どの小説でも必ず伝えたいことがあります。僕の読書人生で刮目させられる表現。それを僕は集めているのです。

さて、この小説の中で一番好きなシーンは以下です。主人公の山崎と彼女の由希子が、バイト先の店長であるナベさんの家族と食事しているシーンです。

 

「なぁ、山崎」とナベさんは僕に言った。

「わしは京都の小さなお好み屋さんからスタートして、今では新宿で小さいながらも四軒の飲食店を経営できるようになった。なぜやと思う?」

「寝る間も惜しんで、一生懸命働いたから」

「アホかいな。そんなもん食うためなら誰でも一生懸命に決まっとるやないか」

「ナベさんの人柄?」

「関係あらへん。」

「運?」

「それは少しはあるかもしれんけど、もっともっと具体的で単純なことや。よう考えてみい」

僕はワインで心地よく酔った頭を懸命に回転させたが、うまい答えを見つけ出すことができずにいた。

「もしかして」と秋菜ちゃんの髪を編んでいる由季子が口を開いた。

「もしかして、お水?」

「そうや」 〜略〜

「飲食店の善し悪しはいかにおいしく水を飲ませるかやとわしは思っとる。ただの水を、きれいなグラスとちょうどいい冷たさで出す。水さえおいしく飲めれば料理だって酒だって何だっておいしく感じる。そういうもんやないかなぁ。だから、わしはこの商売を始めてからずーっと水だけは神経使ってきたんや。ただで出すもんやからこそ大切なんや。

こんなこと由希ちゃんや山崎には関係ないかもしれんけど、覚えておいてや。企業秘密や。君らには何にも教えることはないけど、まぁせいぜいこんなもんや。覚えておいて損はないと思うで。」

このようなシンプルな言葉は、自己啓発本にも書かれていると思います。

でも、小説の中で展開されているからこそ、僕は強烈に覚えているのです。

 

●いつの日か、僕は小説を書けるのだろうか?

僕の密かな夢。

それは、「小説を書くこと」なのです。

しかし、今の僕には圧倒的に表現力が足りません。例えば、冒頭の書き出しのような繊細な文章を書きたいのだけど、未だ僕の文章力は拙すぎるのです。

 

……ま、いっか。

 

さて、早速「エンプティスター」を読もうかな。

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