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「マチネの終わりに」がプラトニックすぎて違和感を感じてしまった件

   

平野啓一郎さんの「マチネの終わりに」という小説を読了しました。
この小説は「アメトーーク!」というテレビ番組の「読書芸人」という放送回で、かなり好評だった作品です。
又吉と若林が絶賛していましたが、はたしてそれほど面白い小説なのでしょうか。

 

「マチネの終わりに」のあらすじ

まずはこの小説のおおまかなあらすじを確認しておきましょう。

物語は、クラシックギタリストの蒔野と、海外の通信社に勤務する洋子の出会いから始まります。初めて出会った時から、強く惹かれ合っていた二人。しかし、洋子には婚約者がいました。やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまいます。互いへの愛を断ち切れぬまま、別々の道を歩む二人の運命が再び交わる日はくるのかー

 

 

「マチネの終わりに」が読みにくい本当の理由

実際にぼくがこの小説を読んだところ、読み進めるのにかなり難儀しました。
その理由はふたつあって、一つは表現がけっこう難しいことです。
さすが京都大学法学部出身の平野さんだけあって、使われている単語や描写が高尚すぎるのです。

もう一つの理由こそ本質的なのですが、この小説は相当重いプラトニックということです。
もはや非モテコミットの極みともいえるのです。

ここから先はネタバレになる可能性がありますので、注意してくださいね。

たとえば、洋子と蒔野は婚約するのですが、問題はそのタイミングなんですよ。

洋子は二人が、まだたったの三度しか会ったことがなく、肉体的には、キスを交わし、せいぜいその周辺を行きつ戻りつした程度でしかないことを思った。それはやはり、珍しいことであるに違いなかった。

たったの三回しか会っていないのに、婚約ですよ!
しかもまだキスしかしていない段階で婚約て!
あと、「せいぜいその周辺を行きつ戻りつした程度」っていう表現ももどかしい。要するに性交はしていないということですよね。

「珍しい」というか危険ですよ、その段階で結婚するのは。
平安時代じゃあるまいし。

洋子も蒔野も「恋愛感情」だけで結婚しようとしているのです。
老婆心ですが、お互いの生活スタイルをもっと見つめ直した上で結婚を決意したほうがいいですよ。基本的なことですが。

 

主人公の非モテコミットが深刻だと思ってしまった。

そのくせ、驚くことに蒔野はあっさりと元マネージャーの早苗と結婚してしまうのです。

奇妙なことに、蒔野は早苗を恋愛相手として、ただの一度も意識したことがなかったが故に、却って彼女と結婚するという発想へと飛躍することが出来た。

奇妙すぎるわ!
その発想がよく分からない……。

逆に、世間の人は「恋愛相手としてただの一度も意識したことがない相手」と結婚ができるものだろうか?

ぼくは結婚経験がありますが、恋愛対象とならない相手とはやはり結婚できないですよ。器が小さいのかな?

さらに、これに続く文章がもはやぼくの理解を超えているんです。

彼は、自分はもう洋子を愛したように誰かを愛することはないだろうと思っていた。そんな早まった考えは、十代の少年の、瑞々しい失恋にこそ相応しいようであるが、その実、彼は四十歳という年齢の故に、むしろ無知とは真逆の静かな諦念によって、ゆっくりとそう結論を下したのだった。

このこじれかたがすごい……。
恋愛工学でいうところの「非モテコミット」にかかっていますね。
つまり、洋子以上の女性はもう訪れないからこれから先は早苗を妻として愛そうと「努力」するということでしょう。

これ、早苗に対して失礼ですよね。
ここで「諦念」という言葉を使うあたりが、その失礼度合いを増す感じです。

この辺りは読んでいて一人で立腹していましたよ。
プラトニックにもほどがある、と。

参考:非モテの諸君!まずは「ぼくは愛を証明しようと思う」を読もうではないか。

40歳代の恋愛は逆にプラトニックになるものなのか?

この小説のレビューを読んでみると、「切ない大人の恋愛ストーリー」という声が多いですが、ぼくは別の意味で読み進めるのがきつくなってしまいました。

なにせ主人公の蒔野と洋子のプラトニックぶりがすごいので逆にリアリティがないと感じてしまったのです。

こんな場面があります。

アポロの隊員が月から眺めた地球の映像を見ながら、蒔野は、この広い惑星の上で、洋子に会うための確率といったようなことを考えた。

大人になるにつれ挑戦心は失われていきます。
ぼくから見たら、蒔野は単にほかの女性にアタックするだけの勇気を持っていないだけと思ってしまうのです。

40歳になると個人的に複雑な問題を抱えることになります。
それはもう千差万別ですが、蒔野の場合は仕事上のスランプくらいが重要な問題であり、別に両親の介護で死にそうだとか不治の病にかかってしまったという問題でもありません。

蒔野はもっと恋愛経験を積んだほうがいいのでは……。

と、こんなことを考えるぼくが単に恋愛というものを分かっていないのかもしれません。

「恋愛ははしかのようなもの」だと知ってはいるのですが。

 

 
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