ケンタの日本全国スタバ旅 (Starbucks trip)

日本のコンセプトストアを制覇した「スタバ旅行家」のケンタが47都道府県のスタバを巡りまくる!

*

読書日記(32)「晴天の迷いクジラ」窪美澄 〜うつ病で苦しんでいる人へ、たった4文字のメッセージ。

   

 

突然ですが、日本人ってなぜこんなに働き者なのでしょうか?

もう年末というのに、ガンガンに仕事している人が多いですよね。

僕はこの本を読んだときに、「あー、そりゃ日本はうつ大国になるわ。」と痛感した次第です。

 

まずは、ご多分にもれないハードワークぶりを。

 

主人公の由人はある企業に勤めています。そこがまさに戦場みたいな職場なのです。

このブログを読んでいる皆さんも経験があるかもしれませんが、以下のような激務が待ち構えているのも不思議ではないのです。

 

家に帰れない日も多くなった。ソファや簡易ベッドは先輩たちが占領していたので、仕方なく由人は机の下に新聞紙を敷いて寝た。

それを見ていた経理の畠さんという会社でいちばん年長の男性が、自分の息子みたいな年の男の子が、それじゃあんまりだから、と登山のときに使っていたという寝袋を貸してくれた。

机の下で短時間、細切れの睡眠をとり、コンビニで売っているおにぎりやサンドウィッチを食べて、それ以外の時間はすべて仕事に注いだ。

 

僕もこのような激務を経験して、ご多分にもれずメンタルをやられました。

そして、由人も少しずつ病んでしまうのです。

 

やっぱり日本の企業って異常だと思いませんか?

 

うつの薬を初めて飲むはめになった由人。

やはり抵抗を感じますが、会社の先輩や同僚にはこう言われるのです。

 

「深く考えるな。俺も長谷川さんもあの病院の常連なんだよ。お前も俺も必要だからのんでるんだから。生きていくために。ありがたいと思って、のめよ。」

由人の顔を見ずに答えた。

溝口さんも長谷川さんも、この俺もこんな薬のんで、こんなふうに働いて大丈夫なのか、と由人は初めて思った。この国は。

それは、生まれて初めて頭の中に浮かんだ言葉だったので、由人自身がすごく驚いた。こんな薬で気持ちを底上げしてワカモノが休まず働かなきゃいけないこんな国って。

 

「ブラック企業」という言葉は上記のような環境を指しているのでしょう。抗うつ剤を服用しながら、頑張って頑張ってその会社にしがみつく様は、かつて社畜だった僕に刺さりました。

人生の選択肢を狭めるとこうなるのです。

特に日本という社会では「サラリーマン」しか出来ないのは非常に危険です。

何かあれば、イチコロで転落しますから。

 

うつで苦しんでいる人へ。この4文字だけを捧げます。

 

この小説では、「クジラ」がちょっとしたアクセントを醸し出しています。

そして、僕は自分の体験を以下の部分に重ね合わせました。

由人が地元の友達である「雅晴」にうつをカミングアウトした場面です。

 

泣いている雅晴を見ているのがつらくて、由人はまた海を見つめた。 尾びれのシルエットが突然浮かび上がって、今までで一番大きな音を立てて海面を叩いた。

「由人くん、死ぬなよ」

雅晴は由人の顔を見てそう言った。声はもう震えていなかった。

そうか、と由人はまた思う。悩む必要なんかなかったんだ。練炭自殺しようとした野及花にも、リスカしてる正子にも、そして薬のんでなんとなくこの世からいなくなりたい自分にも、「死ぬなよ」って。ただそれだけ、言えばよかったんだ。

 

僕も「うつ」がひどくて、どん底の状態をさまよっている時、「もうこの世からいなくなりたい」と痛烈に思いました。

そんな時は、論理や損得など一切考えずにただひたすらこれだけを念じていればいいのです。

「死ぬなよ」

生きていれば、どこかしらで人生がクイっと転換する場面もあります。

今はド底辺にいるかもしれない僕たちは、ただひたすら死ぬことを避けるだけでいいのです。

 

とにかく、生きていよう。

 

スポンサーリンク

 

 
スポンサーリンク

 - 読書日記

おすすめ記事

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

読書日記(38)「金融が乗っ取る世界経済」ロナルド・ドーア〜投資家に必要なアウトルックを磨こう!

  おはようございます。快晴の土曜日ですが少しドタバタしているケンタ( …

金持ちの最大の悩みは「お金があること」〜「ザ・ニューリッチ」ロバート・フランク

ぼくのライフワークの一つは「お金」について研究することです。 もっといえば、お金 …

為末大の「諦める力」を読んで人生をさくさくロスカットせよ!

小さい頃、「努力すれば夢はかなう」とか「あきらめたらそこで試合終了だよ」とか散々 …

近代の日本を語るときに読んでおきたい船戸与一の「風の払暁(満州国演議1)」

亡き船戸与一さんの大作が全9巻完結しました。その名も「満州国演義」。 最近は文庫 …

金持ちになりたくない一つの理由が「後妻業」に書かれている。

スポンサーリンク 誰しもが金持ちになりたいと思っている。それ、本当か? &nbs …

読書日記(18)「モチベーション3.0」ダニエル・ピンク

最近は少し経済学に絡んだ本を読むようにしています。その中でも、サラリーマンにとっ …

西加奈子の「サラバ!」は名言ラッシュ!〜「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」

先週、甲府スタバ旅に出かけたのですが、旅のおともに西加奈子の「サラバ!」を持って …

はあちゅうの「半径5メートルの野望」を読んで夢の叶え方を考えてみた!

最近、はあちゅうさんをテレビなどのメディアで見る機会が多くなって、今さらながら著 …

「教団X」は単なる駄作なのか?いや、「神の領域」への挑戦状かもしれない。

やっと中村文則さんの「教団X」を読了しました。 この「教団X」、実はAmazon …

読書日記(33)「弱いつながり」東浩紀 〜「自分からキルな!キラれるのは仕方ない!」

  こんにちは。ケンタ(@kentasakako)です。 今年もあと2 …